文芸書ベストセラーランキング10年分から読み解く作品と作家トレンド

そういえば近頃文芸本読んでないな~と思い、近年売れている本を調べてみた時の事です。
私は書籍売上ランキングなどをよく見るのですが、その時ふと思った事がありました。
売上ランキングの作家名って芸能人みたいに「前は良くみたけど最近は見ないな」みたいなトレンドのようなものがあり、作品というより作家にも流行り廃りがあるな~と。
文芸はぼほ一冊完結の為、作家そのものがトレンドとして現れやすいんでしょうね。
当たり前といえば当たり前なのですが。

でも芸能人と違う点は、書籍販売数が数字として明確に出ている所。
つまりトレンドというあやふやなものを数値としてまとめやすいのでは?と思ったのです。
考えだしたら気になってしまい、深掘りしてしましました。

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ベストセラーランキングの作家名を集計してはどうだろうか?

色々考えて、年間ベストセラーの作家名を集計すれば大枠のトレンドが見えるのではと思いました。
勿論一概にはいえないですがこの回数が多いほど「より長く、より多くの作品を世の中に受け入れられた作家」となる確度が高く、またいつ載ったかも明記する事によりいつトレンドのあった作家なのか明確に出来るのかなと。

調べると、トーハンさんがサイトで過去のベストセラー情報を載せてくださっていました。

しかし文芸の年間ベストセラーはトップ10まで。もうちょっと欲しいなとも思いましたが、集計が多いのも大変かと思い直し、過去10年分調べ「過去10年の大枠のトレンド」としてまとめてみる事にしました。

10年間分のベストセラートップ10

では集計です。
まずは以下、トーハン調べ「単行本・文芸書」2009~2018年の10年間分のベストセラートップ10の一覧です。

【引用】トーハン調べ2018年単行本・文芸書
【引用】トーハン調べ2017年単行本・文芸書
【引用】トーハン調べ2016年単行本・文芸書
【引用】トーハン調べ2015年単行本・文芸書
【引用】トーハン調べ2014年単行本・文芸書
【引用】トーハン調べ2013年単行本・文芸書
【引用】トーハン調べ2012年単行本・文芸書
【引用】トーハン調べ2011年単行本・文芸書
【引用】トーハン調べ2010年単行本・文芸書
【引用】トーハン調べ2009年単行本・文芸書

さすがトップ10だけあって話題になった作品ばかりですね。
1Q84、物語シーリズ、謎解きはディナーのあとで、下町ロケットシリーズ、なんかは社会現状ラス。天地明察ってもうこんな前なのかと懐かさも感じました。

トレンド力の強い作家さんを絞り込む

ではこの情報を元にトップ10に乗った作家の回数を数えて2回以上ランクインした人を絞ってみます。またどの期間にランクインしたかも書いていきます。
先に述べたように、この回数が多いほどよりトレンド力のある作家と言い換えてよいかと。

集計してみると2009~2018年のベストセラートップ10に載った作家は計45人でしたが、13人まで絞られました。約1/3ですね。1回しか載っていない作家の中には、
恩田陸
上橋菜穂子
宮部みゆき
三浦しをん
冲方丁

など実績のある方も沢山いらっしゃいました。
正直もっとランクインしていると思っていた方達でしたが、年間ベストセラー10限定となると10年に一回という結果。
…トップ10とはそれだけ狭き門なのですね。

さて、では2回以上ランクインして近年10年でトレンドが強い方はどの様な方達なのでしょうか?

どうぞ!

1位 東野圭吾 16回 (2009~2018)全期間!
2位 住野よる 8回(2015~2018)
3位 池井戸潤 7回(2011、2013~2016、2018)
3位 西尾維新 7回(2009、2010、2012~2014)
5位 村上春樹 6回(2009、2010、2013、2014、2017)
6位 東川篤哉 5回(2011~2013)
7位 川口俊和 3回(2016~2018)
7位 又吉直樹 3回(2015~2017)
7位 百田尚樹 3回(2013、2014、2016)
7位 夏川草介 3回(2010、2012)
7位 柴田トヨ 3回(2010、2011)
12位 村田沙耶香 2回(2016、2017)
12位 姜尚中 2回(2010、2013)

やはりそうそうたる面子です!

1位は納得の東野圭吾さん。
おそろしや…全期間でトップ10に名前が載っていました。
そしてランクイン回数は…2位と倍の差があります。
まさに日本の顔とも言える文芸作家さんです。
人間国宝とかになるのではないでしょうか?

2位は住野よるさん。
結果としては2位ですが、恐ろしいポテンシャルだと感じた結果です。東野圭吾さんのデビューは1985年「放課後」からのプロ作家歴34年のベテランです。一方住野よるさんは2015年の「君の膵臓をたべたい」でデビューしプロ作家歴は僅か4年!
ベストセラーランキングも東野圭吾さんは10年全て載ってましたが、住野よるさんも2015年から出版したタイトル全て軒並みランクインし、2017年などデビューから出版した4タイトル全てがランクインしています。
今後が非常に楽しみな作家さんです。自分も漫画化されたものを何作品か読みました。

この住野よるさん、調べるとデビュー経歴も現代らしく色々思うところがあり、別記事で出版業界の全体の話として深掘りしたいと思っています。

3位は池井戸潤さん、西尾維新さん。
社会現状を巻き起こした下町ロケット、物語シリーズですね。
こちらも納得の順位です。住野よるさんとたった一回差なので、余り順位は関係ないですね。
しかしトレンドという目線で見てみると西尾維新さんは2009~2014年にランクインし、池井戸潤さんは比較的万遍なくランクインしています。
西尾維新さんは完全に物語シリーズという作品によるトレンドですね。

5位は村上春樹さん。
正直最初、あれ?5位なの?とか思っちゃったのは失礼ですが、10年通して万遍なくランクインしていますので、作品トレンドというよりやっぱり作家力で売れているのはさすが村上春樹さんと思いました。

6位は「謎解きはディナーの後で」の東川篤哉さん。
完全に作品トレンドですね。「謎解きはディナーの後で」がランクインの全てでした。

7位は沢山いらっしゃいますが、一人ずつご紹介。
川口俊和さん「コーヒーが冷めないうちに」の作品トレンド。
又吉直樹さん「火花」の作品トレンドに思われがちですが「劇場」でもランクイン。作家性トレンドもある方です。
百田尚樹さん「海賊とよばれた男」「カエルの楽園」の2作品でランクイン。
夏川草介さん「神様のカルテ」シリーズの作品トレンド。
柴田トヨさん「くじけないで」「百歳」の2作品でランクイン。

12位の村田沙耶香さんと姜尚中さん
村田沙耶香さんは「コンビニ人間」での作品トレンドです。しかし2016年~2017年と最近なので今後も期待の作家さんです。
姜尚中さんは「母-オモニ-」「心」の2作品でランクイン。恐縮ですが作品も作家名も知らない方でした。作品トレンドではないので地力のある方ではと推測できます。

思った以上に楽しかった

今回作家トレンドを調べてみようと思い、始めた事ですが年間ベストセラー10でトレンドを測ろうとすると社会現象レベルのトレンドを追う事になってしまうんですね…当たり前か…
それにしても東野圭吾さんは本当にすごいです!集計していて鳥肌立ちました。
住野よるさんも「最近よく聞くよね」みたいなレベルではない事も分かりました。東野圭吾さんとはまた違った個性を持った万人に愛される作家さんだと思います。
あとは当初思った以上に作品によるトレンドもかなり強いなとわかりました。一冊完結とはいえ、最近はシリーズ物も多いですしね。
しかし漫画とかよりはやはり作家そのものが支持されているなと思われるランクインの仕方もしっかりと垣間見えました。(漫画ランキングとかもう決まった作品しかランクインしませんからね…)
そして作家トレンドが強いかたはこれからも根強くベストセラーに名を連ねるのでしょうね。

興味本位で始めた集計ですが、思った以上に楽しかったです。(私的には)
数値化するのってはっきりと世界を把握できますよね。

こんなの誰か読むのかなとも思いましたが…記事にしちゃいました。
もしお読みくださった方は最後までお付き合いありがとうございました。
おわり!